読書メモ

クラウスのビデオ・アート論再読(3)

先にあげたビデオアートの三つの戦略のうち、「このメディウムの内部から批評するために活用する形式」に相当するのはリチャード・セラとナンシー・ホルトの《ブーメラン》だった。ヘッドセットを身につけたホルトがクローズアップで映っている作品だが、ホ…

 クラウスのビデオ・アート論再読(2)

ビデオアートはフィードバックにひとつの特性をもっている。言い換えれば、「瞬時のリプレイ」だ。だがクラウスの言及には次の言葉が挿入されている。「事実、このリプレイの外では字義通り現実に存在しないような作品の創造なのである」。 (書き途中) ビ…

 クラウスのビデオ・アート論再読(1)

from left: Vito Acconci, Centers(1971); Richard Serra and Nancy Holt, Boomerang(1974); Joan Jonas, Vertical Roll(1972). 『オクトーバー』誌は1976年の春号が創刊号で、*1そこでクラウスは「ビデオ:ナルシシズムの美学」という論考を寄せている*2。…

…いずれにせよ、印刷物の表現の世界は「見えないものを見えるようにする」という論理で動いてきた、ということさえ頭に入れておいてもらえれば十分だ。 ところがウェブの世界はそのように作られてはいない。そこではまず「見えるもの」の状態が定かではない…

仕事ちょろちょろ趣味ぱっぱ。 …いやいや、もはやリスクを背負って死ぬ気で趣味。 ところで趣味ってなんだろう。 アーレントさんに意見を乞う。 「生計を立てる」という観点から見ると、労働と関係のないすべての活動力は「趣味」となる。*1 美術をやってい…

「感涙座談会」の「まるでこの世のものと思われないような」「浄福感」や、「招魂の御儀を拝して」の「魂の底に徹するやうな深い感激」の世界からは、日本軍の戦争がもたらした「血の海」のイメージが完全に抹消されている。まさにそれが「昇華」の意味であ…