■
松江泰治『JP-22』。
巻末に清水穣さんの松江論が載っている。
◇
現代を見つめていると、直近の過去ですら遠い存在に見えてくる。細かく見ていくと、差異が膨大な量出てくるからだ。それが50年、100年のスパンになると、すでに差異は天文学的数値になり、むしろ星座のように抽象化されて大きな事件だけが浮かび上がってくる。そうなると、私たちは体系化の誘惑に駆られて、歴史を「物語って」しまう。圧縮されたひとつの流れである時間を空間的に分割する、つまり写真的にするときにこそ、齟齬が生まれる。たぶんタイムスリップに失敗してパラレルワールドにたどり着いてしまったように、それは現実であって現実じゃない。だから写真を完全に信用してはいけないし、文章はなおさら信用できない。ヴィーコのように過去との相互介入によって不断の意味づけを織り成し、歴史を解釈することも、ディルタイみたいに現実の生活体験を抱えつつ過去へ没入し、追構成する「生の哲学」もまた、現在に根付いていることを確認すべきであり、ともすれば展示空間よろしく「すべてコンテンポラリー」になっていた、という過去への暴力もまた、あり得べき事実ではある。
◇
購入書籍
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/20
- メディア: 新書
- 購入: 42人 クリック: 868回
- この商品を含むブログ (597件) を見る
- 作者: 奥平康弘
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: 文庫
- クリック: 33回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
アカ狩りも転向問題も言論統制もこの法抜きで語れないわけで、精読したい。
- 作者: 古川隆久
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2003/02/01
- メディア: ハードカバー
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
社会史的に論じているところがポイント。